パリの街角散歩です。カタツムリのようにゆっくりと迂回しながら、そして時間と空間をさまよいながら歩き回ります。


2015年11月23日月曜日

散歩R(10-9) カフェ・ル・ラロシュとパヴァール Café ''Le Laroche'' et ''Pavard'', r.v. des artistes (9区サン=ジョルジュ地区)

☆ノートルダム・ド・ロレット通り60番地 (60, rue Notre-Dame de Lorette, 9e)
 《レストラン・パヴァール跡》




(c) Google Map Streetview
 60, rue Notre-Dame de Lorette, 9e
ここに昔、ステーキ・レストラン「パヴァール」(Rôtisserie Pavard) があったという。旧ブレダ通りの「ディノショー」と同じように芸術家たちの溜まり場だった。違いは「ツケ払い」がなかったのと、「ディノショー」が文人たちが多数だったのに比べ、「パヴァール」は画家が多かったことである。また「ディノショー」が2階にしか客席がなく狭苦しかったのに対し、「パヴァール」では1階に数室に分かれて客席があって広かった。
ボードレールは親友のマネと連れ立って頻繁にここに食事しにやって来て、その後は通りの向い側にあったカフェ「ル・ラロシュ」(Café Le Laroche)で議論や雑談に興じた。

「パヴァール」の客としては、他に小説家のミュルジェ、バルベー・ドールヴィイ、画家のピュヴィ・ド・シャヴァンヌなどがいた。(PRR)



☆ノートルダム・ド・ロレット通り57番地 (57, rue Notre-Dame de Lorette, 9e)
☆ラ・ロシュフコー通り49番地 (49, rue La Rochefoucauld, 9e)
 《カフェ・ル・ラロシュ跡》

通りを少し上がると、青果店、パン屋、中華総菜屋、カフェ、文具店、酒屋などの商店が立ち並ぶ生活感あふれる一角がある。ここは道路が複雑に交差する場所で、言い方によっては珍しい七又路になっている。

(c) Google Map Streetview
 57, rue Notre-Dame de Lorette, 9e
vers la rue de La Rochefoucauld

57番地の角には現在(2015)「カフェ・マティス」(Café Matisse)という名前の小さなブラスリーがある。店内にアンリ・マティスの複製画が飾られているだけで、マティスに所縁があるわけではない。約150年前にはこの店の場所に「ル・ラロシュ」(Café Le Laroche)というカフェがあった。そもそもの店名は「ル・カフェ・ド・ラ・ロシュフコー」(Le Café de La Rochefoucauld)なのだが、長すぎるので短縮した通称「ラロシュ」(Laroche)が定着したようだ。

ここも画家たちを中心にした溜まり場だったが、意外なことに、印象派とそれに近い画家たち、つまりマネ、ドガ、ルノワールなどが、旧来のアカデミーに近い画家たち、つまりコルモン(F.Cormon)、エネ(J.J.Henner)、アルピニー(H.Harpignies)、ギュスターヴ・モロー(G.Moreau)、ジェローム(J.L.Gérôme)らと混じり合って、雑談したり、肩を並べてゲームに興じたりしたという。(LAI, PRR)

散歩者は、ここから左折してラ・ロシュフコー通りを下って行く。


参考Link : Autour de Père Tanguy : Le restaurant Pavard de la rue Notre-Dame-de Lorette (仏文)



かたつむりの道すじ : (9)アンリ・モニエ通り~(10)ノートルダム・ド・ロレット通り~
(11)ラ・ロシュフコー通り (c) Google Map